睡眠時無呼吸症候群

「睡眠時無呼吸症候群」とは、名前の通り、眠っている間に呼吸が止まってしまう状態が何回も繰り返し起こる病気です。英文の頭文字をとり、「SAS=サス」と呼ぶこともあります。日本人の約3%、240万人がSASの状態だと言われています。
高血圧や糖尿病など生活習慣病の方では、高率にSASを合併していることがわかっています。

SASの症状とは?

SASは呼吸が止まることによって酸素不足になり、十分な睡眠を妨げることから、

  • 昼間、猛烈な眠気を感じることがある。
  • 寝ている間に繰り返し起こる大きないびき。
  • 起床時の頭痛。
  • 睡眠時間は十分なはずなのに、疲れが取れない。
などの症状がみられることがあります。

SASだと身体にどんな影響があるでしょう?

睡眠中の酸素不足により、脳や体に負担がかかります。睡眠は、本来、昼間活動した脳と身体に十分休息させるためのものです。しかし、その睡眠中に無呼吸=酸素不足が繰り返されると、それを補うために心臓は心拍数を上げます。そうすると脳も身体も断続的に起きている状態になり、十分休めないという事になります。

その結果、昼間になっても強い眠気や倦怠感、集中力の低下が起こり、生活に様々な悪影響を生じることがあります。それだけではなく、生活習慣病の発症と悪化につながると考えられています。

高血圧とSASの合併

健康な人では、昼間は、交感神経(人間を活動的にする神経)が優位に働くため血圧が上がり、夜眠っている間は、副交感神経(身体を休めるために働く神経)が中心になり昼間よりも血圧が低下します。

しかし、SASの患者さんは、睡眠中に何回も呼吸が止まるので、そのたびに呼吸を再開させるために交感神経が働きます。すると、夜になっても血圧が低下しなかったり、逆に昼間より高くなることもあります。ひいてはこのことが夜間だけではなく昼間の血圧も上昇させてしまいます。

夜間高血圧の患者さんでは、他の高血圧の患者さんよりも脳卒中などの脳血管疾患や心筋梗塞などの心血管疾患の発症リスクが上昇することが知られています。すなわち、高血圧とSASが合併している方は要注意!です。

スクリーニングによる早期診断

SASによる高血圧をはじめとする生活習慣病の悪化、ひいては脳や心臓への悪影響を見逃さないためには、SASの重症度を評価する簡易検査が有効です。これは、鼻につけたチューブで睡眠時の無呼吸イベントを、また指につけたキャップで血液中の酸素濃度を測定するものです。

当院ではこの簡易検査を実施しています。健康保険が適用され、約¥3,000(3割負担)で行うことができます。 睡眠時にいびきが大きい、呼吸が止まっているなどの症状がある方は、ぜひ一度、このSASを評価する検査を受けてみましょう。